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2026.04.30
「カチッ」という音と、誰も覚えていないこと


ビリヤードのボールがぶつかる「カチッ」という乾いた音がして、そのすぐ後にテーブルのみんなが笑いました。
すごいショットだったからではありません。逆に、完全に外したからです。
みんなとビリヤードに行ったのが何回目だったのか、私はもうよく覚えていません。
でも最近、そういう時間が少しずつ増えてきました。
そして不思議なことに、私はそれを楽しみにするようになりました。
ゲームそのものより、その場所にいる時間が好きだったのです。
正直に言うと、私はビリヤードが上手ではありません。
一緒に行く人たちも、ほとんど同じです。
ちゃんとしたルールより、とにかく打ってみる感じの時もあります。
でも、そういうゲームほど楽しいのです。
誰が勝ったか、誰が負けたかはあまり大事ではありません。
さっきのショットでみんなが笑ったかどうか、そのほうが大事でした。

ある日、初めてキューを持つ友だちがいました。
私は立ち方や狙い方、軽く打つ方法を少しだけ教えました。とても基本的なこと。
でも、その友だちが最初のボールに当てた時、目がすごく輝きました。
まるで大きなことを成功させたみたいでした。
楽しさは、自分がどれだけ上手かより、誰かとその時間を一緒に楽しめることのほうが大切なのかもしれないと。
その時、私はそうと思いました。

時々、もっと上手な人と一緒に遊ぶこともあります。
角度を見て、力を考えて、とても自然に打ちます。
私はその技術を全部できるわけではありません。
でも、別のことを学びました。
それは、上手な人ほど落ち着いてゲームを楽しんでいるということです。
私はいろいろなビリヤード場に行きました。
にぎやかで明るい場所もありました。話し声とボールの音がずっと聞こえるような場所です。
逆に、静かで一つ一つの音がよく聞こえる場所もありました。
でも、何度も行きたくなる理由は、台やキューではありませんでした。
みんなと一緒にいる時間です。
ゲームの間に、意味のない話をすること。「次は別の店に行ってみよう」と言うこと。

ゲームが終わっても、すぐには帰りません。近くで何か食べよう、とみんなで行くことが多いです。
もうボールの音はありません。でも、笑い声はまだ続いています。
帰る時も、特別なことはありません。
「また今度行こう。」
「次はあの店にしよう。」
それだけです。
でも私は、今日はいい日だったな、と思います。。
何か大きなことをした日じゃなくてもいい。全部を覚えていなくてもいい。
それでも、また同じような日をもう一度過ごしたい。
そう思える日でした。



